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とだな ジョン・バーニンガム作 谷川俊太郎 訳

僕のユルイGWが始まった。
日々徒然、本について書くつもりが、前回から随分時間が開いてしまったなあ。そんなユルイ、ブログの再開には、コレ。
ジョン・バーニンガムのイラストが好き。其れに尽きる。左に谷川俊太郎訳のことば。余白が大きくて、ページをめくるごとに、僕のとだなをめぐる日常がオチも無く続く。この、なんでもなさがいい。こどもの目線に寄り添ってる物語は、案外、こういうものかもしれない。
オトナは結論を求めすぎる。

とだな ジョン・バーニンガム 谷川俊太郎 訳 冨山房刊
ISBN4-572-00225-8
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# by takuyai9 | 2017-05-02 09:51

作家の珈琲

「作家の〜ほにゃらら」シリーズ、珈琲編。
確か咋年末、休みの合間に読む本を書店で大人買いした時になんとなく書棚で目に止まって購入した内の一冊。パラっと目は通したけど、ちゃんと読んでなかったのを、気が向いて珈琲片手に向き合った。
コレがなかなか面白い。作家と言っても表紙が松本清張御大だから大先生方の嗜好つらつらかと思いきや、写真家、イラストレーター等、ジャンルは幅広く、但し皆さん鬼籍に入られている人ばかり。さながら、NHKの「サラメシ」の「あの人が愛した昼メシ」よろしく、作家のプライベートな顔が珈琲周りを通して浮き彫りにされている。
イマドキの珈琲オシャレ本じゃない素朴で硬派なトコロが好感持てる珈琲徒然アーカイブです。
まあ、表紙の清張さんのなんともリラックスした表情が全て語ってますね。因みに清張さんの「甘党コーヒー」は「スプーン三杯の砂糖をいれてご満悦」だそう。勘弁してね。

作家の珈琲 コロナブックス 平凡社刊
ISBN978-4-582-63499-0
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# by takuyai9 | 2017-03-08 23:40

The Work of Ettore Sottsass and Associates

僕のおじさんアイドルの一人(笑)、ソットサスの仕事をまとめたビジュアルブック。
メンフィスのムーブメントをはじめ、独特の作品の世界があって、主流にはなり得ないけど実はいろんなところに影響を与えているんじゃないか感が、気に入ってるところ。造形もそうだけど、色の配色が際立っているなあと、この本をめくるといつもそう思う。
たとえば、ロイ・リキテンスタインのポップアートや、ルイス・バラカンの建築みたいに、僕が好きなモダンは多色でポップで乾いた空気感が好みみたい。
ソットサスは、風貌もイカしてるし、イタリア人というのは人生の楽しみ方をよく知っている人たちだから、その仕事の範疇は多岐にわたって面白い。タイポグラフィ、プロダクト、インテリアデザイン、建築、環境デザインと、おじさんの興味は尽きることなく、素敵な仕事を残している。
そんな一連の仕事をまとめたこの本は、いつも僕を刺激して、勇気付けてくれる。

The Work of Ettore Sottsass and Associates Edited by Milco Caboni UNIVERS刊
ISBN0-7893-0358-2
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# by takuyai9 | 2017-03-06 00:30

体の贈り物 The Gift of the Body レベッカ・ブラウン

タイトルをみて、「なんなんだろう」とまず疑問もつよね。
エイズ患者を世話する、ホームケア・ワーカーを主人公として、逃れようのない死が目前に迫る患者とのやりとり。失われるものと引き換えのようにして残される、それぞれの日常の物語。
ホスピスへ入ってしまえば、死に向かって前進こそすれ後もどりはない。それが分かっている患者の生きることへの執着、息遣い、震えが生身の身体を通して主人公に伝わってくる。ホームケア・ワーカーの彼女は、仕事としての冷静さを保ちながら、一緒に動揺し、患者の汗や震えを受け止め、寄り添おうと努めている。
ともすれば重たいテーマで読むのを敬遠したい人もいるだろう。でも、ここに淡々と書かれているリアルは特別な感情ではなく、誰でもない自分自身の感情の動きのリアルだと感じる。
読後に不思議な優しい心持ちになる。
だから、時々、読み返したくなるのかも。

体の贈り物 レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳 新潮文庫
ISBN4-10-214931-7
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体の贈り物 The Gift of the Body   レベッカ・ブラウン_e0024194_01151955.jpg


# by takuyai9 | 2017-02-25 00:49

鈴木清順 [エッセイ・コレクション] 四方田犬彦編

「フィルムは滅びてこそ」
鈴木清順監督が逝ってしまった。ラジオから訃報が平坦な声で流れてきて、その事実に驚いた。93歳。
学生の頃、下宿のブラウン管TVで夜ふかしの慰みに深夜の名画再放送番組を楽しみにしていた。そこで初めて鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」を観た。
冒頭から他人の悪夢をむき出しで見ているような不思議な映画で、ストーリーを理解出来なかった。鮮やかなコマ割り、大谷直子の息を飲む美しさ、原田芳雄のむせ返るような臭気、正気が正気でない藤田敏八の役所。
僕のアイドル、内田百閒先生の「サラサーテの盤」を探して読んだのも此れがきっかけだった。
作りたいものを作り、配給会社から干された監督のブレない芯は、このエッセイ・コレクションに文章としても花開いている。

粋とは何かを知りたければ、ここにある。

鈴木清順[エッセイ・コレクション] 四方田犬彦編 ちくま文庫
ISBN978-4-480-42747-2
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# by takuyai9 | 2017-02-22 22:36